熱交換器の基本原理、性能指標、種類、効率評価法について解説。産業プロセスにおける熱管理とコスト削減に寄与。

熱交換器の熱力学的性能
熱交換器は、熱をある流体から別の流体に移す装置です。多くの産業プロセスに不可欠であり、その性能を理解することは重要です。熱交換器の性能を評価する際、いくつかの熱力学的な指標が使用されます。
熱交換器の基本原理
熱交換器は、流体Aと流体Bがそれぞれ異なる温度で入ってきて、互いに熱を交換することで各々の温度が変化するという仕組みです。熱の移動は通常、伝導(contact)、対流(convection)、および放射(radiation)の組み合わせを通じて行われます。
熱交換器の性能指標
- 熱交換量 (Q):
熱交換器では、時間あたりに移動する熱エネルギーの量は Q で表されます。単位はジュール(J)やワット(W: \,1\, \text{W} = 1\, \text{J/s})です。
- 対流熱伝達係数 (h):
熱伝達の効率を示す指標で、単位面積あたりの熱流束 (W/m²) を温度差 (K) で割ったものです。
- 熱伝達面積 (A):
実際に熱が交換される面の総面積です。単位は平方メートル (m²) です。
- 熱伝達率 (U):
表面の両側の温度差あたりの単位時間あたりの全体熱流です。単位は W/(m²·K) です。
効率 (Effectiveness-NTU法)
熱交換器の効率を測定する一つの方法として、「効果係数 (effectiveness)」と「単位熱伝達 (NTU: Number of Transfer Units)」を用いる effectiveness-NTU法 があります。効果係数 ε は次の式で表されます:
\[\varepsilon = \frac{Q_{actual}}{Q_{max}}\]
ここで、Qactualは実際に交換された熱量、Qmaxは理論上最大の可能な熱交換量です。
熱交換器の種類
- シェル&チューブ熱交換器:
円筒形のシェルの内側にチューブバンドルが配置された最も一般的な形式です。
- プレート熱交換器:
薄い金属板を積層して作られた熱交換器で、効率が高く、占有スペースも小さいのが特徴です。
- 回転熱交換器:
回転する熱蓄熱材を持つ熱交換器で、主にガス間の熱交換に使用されます。
結論
熱交換器の熱力学的性能を理解することは、効率的なエネルギー管理とコストの削減に大いに寄与します。これにより、各種産業において最適な熱管理を行うことが可能となります。