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CFDによる多相流シミュレーション入門

CFDによる多相流シミュレーション入門では、基本原理、一般的なアプローチ、具体例、使用ソフトウェアを詳しく解説しています。

CFDによる多相流シミュレーション入門

CFDによる多相流シミュレーション入門

多相流とは、異なる相(気相、液相、固相)が混合した流体のことです。例えば、気泡を含む水流や、砂を含む水流などが多相流の例です。CFD(計算流体力学)は、数値解析を用いて流体の挙動をシミュレーションする技術であり、多相流の研究や設計に役立ちます。

CFDの基本原理

CFDは、以下のような基本的な流体力学方程式を数値的に解くことで流体の挙動を予測します。

  • 連続の方程式(質量保存則):
    \(\frac{\partial \rho}{\partial t} + \nabla \cdot (\rho \mathbf{u}) = 0\)
  • 運動量保存則:
    \(\frac{\partial (\rho \mathbf{u})}{\partial t} + \nabla \cdot (\rho \mathbf{uu}) = – \nabla p + \nabla \cdot \mathbf{\tau} + \mathbf{f}\)
  • エネルギー保存則:
    \(\frac{\partial (\rho E)}{\partial t} + \nabla \cdot (\rho E \mathbf{u}) = – \nabla \cdot \mathbf{q} + \mathbf{\tau} : \nabla \mathbf{u} + \mathbf{s}\)
  • ここで、\(\rho\) は密度、\(\mathbf{u}\) は速度ベクトル、\(p\) は圧力、\(\mathbf{\tau}\) は応力テンソル、\(\mathbf{f}\) は外力、\(E\) はエネルギー、\(\mathbf{q}\) は熱流束、\(\mathbf{s}\) はその他のエネルギー源を表します。

    多相流のCFDシミュレーション

    多相流のシミュレーションでは、異なる相の挙動を正確にモデリングする必要があります。一般的に以下の2つのアプローチがあります。

  • オイラー-オイラー法:このアプローチでは、各相を連続体として扱い、各相のナビエ-ストークス方程式を解きます。異なる相は相互作用するが、個々の粒子は追跡しません。
  • オイラー-ラグランジュ法:このアプローチでは、連続体としての主相(オイラー視点)と個々の粒子としての分散相(ラグランジュ視点)を解きます。分散相の粒子の軌跡を追跡し、その運動を計算します。
  • 多相流シミュレーションの具体例

    以下の例を考慮してみましょう。

  • 泡沫流:泡が含まれる水の流れ。オイラー-ラグランジュ法を用いて泡の軌跡を予測します。
  • 塵埃流:砂を含む風の流れ。オイラー-オイラー法を用いて砂と風の相互作用をモデリングします。
  • CFDソフトウェアの利用

    現在、市場には多くのCFDソフトウェアがあり、多相流シミュレーションに対応しています。代表的なものとしては、ANSYS Fluent、OpenFOAM、STAR-CCM+ などがあります。これらのツールを用いることで、複雑な多相流のシミュレーションを効率的に行うことができます。

    まとめ

    CFDを用いた多相流シミュレーションは、異なる相が混在する流れを解析する強力な手段です。オイラー-オイラー法やオイラー-ラグランジュ法を駆使し、適切なCFDソフトウェアを使用することで、実際の現象を精度高く予測することが可能です。